魚を食べれば食べるほどアルツハイマー病リスクが下がる
2017/06/28
魚を食べるとアルツハイマーになりにくい
魚をたくさん食べると体にいいことがたくさんあることはよく知られています。最新の研究結果によると、魚をよく食べる人はアルツハイマー病の発症リスクが下がるそうです。それも、最もアルツハイマー病になりやすいグループの発症危険性を下げるそうです。
認知症の原因になる病気の中で最も多いのがアルツハイマー病です。アルツハイマー病の脳では、アミロイドベータと過リン酸化タウという2つのタンパク質が異常に蓄積し、神経細胞を殺してしまいます。神経細胞が死んでしまうと脳が委縮し、やがて日常生活に支障をきたすような記憶障害や認知障害に陥ります。これが認知症です。
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アルツハイマーに関連しているアポE4遺伝子
現在アルツハイマー病を完治させる治療法はありません。なぜアルツハイマー病が発症するのか、はっきりとしたことは分かっていませんが、アルツハイマー病になりやすくなる危険因子はいくつ発見されています。代表的なものは糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣病です。そして遺伝的要因で一番アルツハイマー発症と結びついているのがアポE遺伝子です。
人間には3種類のアポE遺伝子があります。アポE2、アポE3、そしてアポE4です。このうちアポE4がアルツハイマー病と強く結びついています。人間は母親と父親からアポE遺伝子をそれぞれ1つずつ受け継ぐので、考えられるアポE遺伝子のパターンは「E2,E2」「E2,E3」「E2,E4」「E3,E3」「E3,E4」「E4,E4」の6種類です。
このうち、アポE4遺伝子が1つでもある人は全く持ってない人より2倍から4倍アルツハイマーになりやすく、アポE4遺伝子を2つ持つ人は持っていない人よりも10倍から12倍アルツハイマーにかかりやすいことが知られています。なぜアポE4を持っているとアルツハイマーになりやすいのかは今のところよくわかっていません。
今回行われた研究では、このアポE4遺伝子を持っている人たちを対象に行われました。アポE4保持者286人の死後、脳を解剖して詳しく分析した結果、生前週に一回以上魚を食べていた人は魚をほとんど食べていなかった人たちに比べてアミロイドベータと過リン酸化タウの蓄積が少なかったそうです。
この研究ではまた魚をたくさん食べていた人は脳により多くの有機水銀が蓄積したといいますが、水銀とアルツハイマー病に関連は見られませんでした。この研究を率いたマーサ・クレア―・モーリス氏の話です。
「これまで疫学的な調査で、魚を週に一回程度食べると認知症になるリスクが減ることが分かっていましたが、たくさん食べれば食べるほどリスクが下がることは今回初めてわかりました。」
なぜ魚を食べるとアルツハイマー病になりにくい?s
魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。オメガ3脂肪酸とは人間が生きていく上で必須の脂肪酸で、いろいろな細胞が適切に活動するために体内の様々な場所に存在しています。オメガ3脂肪酸にはα-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の3種類ありますが、このうちDHAは特に神経細胞活動に非常に重要で、DHAが不足すると認知機能が低下すると言われています。逆にDHAを多く摂取すると、脳の活動にとって有益であり、アルツハイマー病をはじめとする認知症に効果があるという研究結果があります。
日本人は魚が好きな国民なので、スーパーなどでいろいろな魚が簡単に手に入ります。アルツハイマー病のリスクを減らすためには週一回以上魚を食べ、オメガ3脂肪酸をたくさん摂るとよいそうですが、マグロなど大型の魚には健康に害を及ぼす懸念のある有機水銀が含まれているので食べ過ぎには注意が必要です。有機水銀のリスクを減らしながらオメガ3脂肪酸を効率よく摂るには下記のようなサプリメントがおすすめです。